言語資産:グローバリゼーションに必要とされるデジタル資産
2025.01.02デジタル時代におけるデジタル化(digitization)は、産業のアップグレードに機会、そしてモチベーションをもたらします。企業が効率的にデータをデジタル化し、デジタルトランスフォーメーションを成功できれば、自ずと業界における競争優位性を構築することが可能となります。 科学技術が飛躍的に発展し始めた1990年代、翻訳業界はデジタル革命にその労力をつぎ込みました。「言語資産」のデジタル化は、まさにこの革命の出発点です。 言語資産は、その他の企業資産と同様に経済的価値を有するため、「資産」と呼ばれています。デジタル化した言語資産は、銀行に預金した貯金箱の中の硬貨のように、収支を理解するのに便利なだけでなく、貯蓄が安定している限り、口座内の預金は蓄積していき、利息を生み出すこともできます。 デジタル化によって、言語資産の適用がさらに便利になります。検索管理がより便利で迅速なものになることに加え、以下のメリットをもたらします。 21世紀のグローバル市場において、国際的なコミュニケーションやマーケティング活動はこのようにして頻繁にかつ迅速に行われ、翻訳を待つ文章はとどまるところを知らず、翻訳プロジェクトの規模はますます大きくなっています。十分にデジタル化された言語資産を有する翻訳担当チームだけが、各業界の顧客と足並みを揃えていくことができます。
国際市場に基礎を置く企業は、より広い視野を有しています。企業そのものに焦点を当てるだけでなく、パートナー企業などがそれなりのデジタル能力を持っているかについても注目します。そして、それぞれの市場とつながるための「翻訳」が大きな鍵となります。
世界とつながる道のりの上で、いかにして翻訳パートナー(または社内の翻訳担当チーム)のデジタル能力を測ることができるのでしょうか?「言語資産」(language assets)から切り込み、相手が言語サービス(language services)において最初となるデジタルトランスフォーメーションに遅れをとらずに対応しているかについて、理解してみましょう。言語資産とは?
言語資産とは、企業の社内または社外における翻訳担当チームの作業過程において、次第に構築、収集、蓄積、編成される、大量の資料およびコーパスのことをいいます。例えば、専門用語集、過去の訳文、ライティング/翻訳スタイルガイドなどです。
それまで翻訳担当チームは、こういった資料を将来の参考のために保管しておくことしかできませんでしたが、1990年代に入ると、「翻訳支援ツール」(Computer Assisted Translation Tools、CATツール)などのソフトウェアがようやく発達し始めたほか、PCの普及と商用サービスが組み合わさったことで、生気のない言語資産が活気づいていきました。
CATツールでは、二言語を対比しながら作業を行うことができます。これにより、翻訳者は作業の過程で、二言語において互いに相当する語義に注意をより払えるようになるだけでなく、過去の翻訳文を二言語の翻訳メモリ(Translation Memories、TM)として記録することができます。重要単語については、単語またはフレーズの単位で、二言語あるいは多言語の用語ベース(Term base、TB)を作成します。このようにして、言語資産はデジタル化されます。言語資産をデジタル化するメリット
そして、サービスの質と量を確実に向上させ、顧客のニーズにすばやく応えるため、これらの言語資産を「適切に」管理していく必要があります。もしも言語資産の管理が雑であれば、パブリック・リレーションズにおける危機を引き起こす可能性さえあります。言語資産の管理方法については、「言語資産の管理:グローバリゼーションにおける品質に必須な資産管理能力」の記事で述べたいと思います。
翻訳の管理が必要な理由とは?単なる文章の変換に留まらない包括的思考の確立:戦略的管理
言語サービスプロバイダー:翻訳だけにとどまらない、企業のグローバリゼーションを支える陰の立役者
言語資産の管理:グローバリゼーションにおける品質に必須な資産管理能力